NUNOHENGE草子

無名のドレスデザイナーNUNOHENGE 

健やかなる時も、病める時も。

無名のデザイナーNUNOHENGEです。

 

私は今、あるドレスのトワルを縫っています。

実際の生地を使用する前に、別の生地で作ってみて仮縫いをするんです。

私の場合は、シーチング(平織生成り生地)でトワルを制作する事が多いです。

 

ドレスはサプライズの要素も多く、通常はオーダードレスのトワルはお見せしません。

ところが、今回はご紹介出来ることになりました。

 

 

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ウエディングドレスのトワルです。

ウエディングドレスのトワルを見る機会は、オーダーされる方以外はあまり無いと思います。

 

私は40年以上、服飾関係の仕事をしてきました。

主にデザイナーパタンナーの仕事でしたが、ドレス制作に関わるようになってからは縫製も業務の一つに。

一着のドレスをデザインから縫製まで全部自分で行うことは、とても勉強になります。

ドレス制作経験は20年位でしょうか。

 

でもその経験の中で、ブライダル業界の仕事はずっと避けてまいりました。

その理由は4つ。

  • 白い生地は汚れが目立つので、緊張する。
  • お姫様っぽいものをデザインするのが、そもそも苦手。
  • 一生に一度のドレスを制作するのは、荷が重い。
  • 汚れた心の私が、清らかなドレスを作って良いものか。

 

そんな私ですが、縁あってブライダルのドレスに関わる事ができました。

4年程前の事です。

着物地ドレスを制作する会社で、デザイナーパタンナーをさせて頂きました。

こちらでは少しウエディングドレスも扱っていたので、ブライダル関連の勉強にもなりました。

 

しかしながら、ウエディングドレスの縫製は初めてです。

ウエディングドレスの縫製士の方は、私にとって特別な存在です。

今回、デザインやパターンだけでなく縫製まで手掛けるので、身の引き締まる思いです。

私にとっては、メンズジャケット以上の挑戦です。

 

ウエディングドレスには、デザインによって特有の仕掛けや縫い方があります。

様々な付属や素材も使われています。

その中で今回使用しました、ホースヘアーを紹介したいと思います。

 

 

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名前の通り、元々は馬の毛で作られていたようです。

馬の毛はベテラン職人でも織るのに凄く時間がかかるので、今でもとても高級品だそうです。

ドレス等に使用する場合は、ナイロン素材が多い気がします。

馬の毛に比べると、お手頃な価格です。

 

片方の端に通っている糸を引っ張ると、カーブの形状になります。

糸が付いていないものもあります。

ハードなものやソフトなものがあり、用途によって使い分けます。

0.5㎝から15㎝幅が多く市販されてますね。

 

私は今回、8㎝幅ソフトを使用。

上品で華やかな裾の広がりを演出します。

けまわし(裾周りの長さ)が20ⅿ近くあるので、ナイロン素材のホースヘアーがあって本当に良かったです。

このホースヘアーは、社交ダンスドレスを制作していた頃もよく使用していました。

引っ張ったりカーブさせたりで幅が変わるので、縫うのに少しコツが必要な素材です。

 

私はドレスを制作する時、着る方を思い浮かべて作ります。

ダンスを踊られる方。

音楽を演奏される方。

授賞式やパーティーに出られる方。

 

そしてこのドレスは、ウエディングドレス。

お二人の門出を祝って。

お二人の幸せを祈りながら、制作しています。